就労移行支援を利用したいと考えていても、「通所中に収入はあるのか」「生活費はどうすればいいのか」と不安を感じる人は少なくありません。一般企業へ向けた訓練を受けられる制度ですが、利用中のお金の仕組みを理解していないと、通所後に困る場合もあります。今回は、就労移行支援の給料事情や利用中に活用できる制度を解説します。
就労移行支援では給料や工賃はもらえる?
就労移行支援は、一般企業への就職を目指すための福祉サービスです。まずは、利用中のお金に関する仕組みを整理しておきましょう。基本的に給料は支払われない
就労移行支援では、原則として給料は発生しません。就労移行支援は「働く場所」ではなく、「就職するための訓練を受ける場所」という位置づけだからです。パソコン訓練やコミュニケーション練習、ビジネスマナー学習などを受けながら、一般企業への就職を目指していきます。そのため、就労継続支援A型のように雇用契約を結ぶわけではありません。また、B型のように工賃が支払われるケースも基本的にはないでしょう。通所しながら収入を得られると思っていると、後からギャップを感じる場合があります。
一部の事業所では工賃が出る場合もある
就労移行支援事業所の中には、軽作業や実習に対して少額の工賃を支払うところもあります。ただし、これはすべての事業所で行われているわけではありません。また、金額も生活費をまかなえるほど高額ではないケースが多いでしょう。工賃の有無や内容は事業所によって異なるため、見学時に確認しておくのがおすすめです。あとから「思っていた内容と違った」と感じないためにも、利用前に細かく確認しておく姿勢が大切です。
アルバイトを認めている事業所もある
事業所によっては、通所しながらアルバイトを認めている場合があります。とくに、短時間勤務であれば許可されるケースもあり、生活費の補助として働く人もいます。ただし、訓練への影響が大きい場合は認められない場合もあるため注意が必要です。また、自治体や事業所の方針によって考え方が異なるため、「他の人ができたから自分も大丈夫」とは限りません。アルバイトを考えている場合は、事前にスタッフへ相談しておくと安心です。
就労移行支援利用中に活用できる制度
収入が少ない状態で通所を続けるには、生活費への不安が大きくなりやすいでしょう。しかし、利用できる制度を知っておくと、負担を軽減しやすくなります。失業保険を受給できる場合がある
以前働いていた人の中には、雇用保険に加入していたケースもあるでしょう。その場合、条件を満たしていれば失業保険を受給しながら就労移行支援を利用できる可能性があります。また、一定条件を満たすと受給期間が延長されるケースもあります。手続きには期限があるため、退職後は早めにハローワークへ相談してみてください。制度を知らずに申請時期を逃してしまう人もいるため注意が必要です。
障害年金を受給している人もいる
障害年金を受給しながら就労移行支援を利用している人もいます。障害年金は、病気や障害によって生活や仕事に支障がある人を支える制度です。受給条件や等級は人によって異なるため、詳細は年金事務所や専門家へ確認すると良いでしょう。また、「働く準備をしていると障害年金が止まるのでは」と不安を感じる人もいます。しかし、すぐに受給停止になるわけではありません。体調や就労状況によって判断されるため、ひとりで悩まず相談してみるのがおすすめです。
自治体の支援制度を利用できる場合もある
自治体によっては、交通費助成や家賃支援などを行っている場合があります。また、生活困窮者向けの相談窓口を利用できるケースもあるでしょう。制度内容は地域によって異なるため、市区町村の福祉窓口へ確認してみてください。とくに、就労移行支援は継続して通所する姿勢が大切です。生活費の不安が強いままだと、通所自体が負担になる場合もあります。利用できる制度を早めに確認し、無理のない環境を整える意識が重要です。
就労移行支援を利用する前に確認したいポイント
就労移行支援は、一般企業への就職を目指すうえで役立つサービスです。しかし、収入面を確認せずに利用を始めると、生活が苦しくなる場合もあります。最後に、事前に確認したいポイントを紹介します。利用期間中の生活費を計算する
就労移行支援の利用期間は、原則2年間です。その間の家賃や食費、通信費などを整理し、どの程度のお金が必要になるか確認しておきましょう。貯金だけで生活できる人もいれば、制度の利用が必要になる人もいます。また、途中で体調を崩す可能性も考えて、余裕をもった計画を立てておくと安心です。生活費への不安が強い状態では、訓練に集中しにくくなる場合があります。
事業所ごとの支援内容を比較する
就労移行支援事業所によって、支援内容やサポート体制は異なります。資格取得支援に力を入れている場所もあれば、職場実習が豊富な事業所もあります。また、在宅訓練に対応している場合もあり、自分に合う環境を探す視点が重要です。工賃の有無や交通費補助なども含めて比較すると、通いやすさをイメージしやすくなるでしょう。ホームページだけで決めず、見学や体験利用を行うのがおすすめです。
就職後のサポートも確認する
就職するだけではなく、長く働き続けられるかも重要です。事業所によっては、就職後の定着支援に力を入れている場合があります。仕事や人間関係の悩みを相談できる環境があると、安心して働きやすくなるでしょう。また、就職実績だけを見るのではなく、「どれくらい定着できているか」も確認してみてください。無理に早く就職させるのではなく、利用者に合う働き方を一緒に考えてくれる事業所を選ぶ姿勢が大切です。