就労移行支援を利用しながら、「生活費のためにアルバイトもしたい」と考える人は少なくありません。しかし、就労移行支援とアルバイトは自由に両立できるわけではなく、自治体や事業所の判断が関係する場合があります。知らずに始めるとトラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。今回は、掛け持ちの可否や注意点について解説します。
就労移行支援とアルバイトは両立できる?
就労移行支援は、一般企業への就職を目指すための福祉サービスです。まずは、アルバイトとの関係について整理していきましょう。原則として禁止ではない
就労移行支援を利用しているからといって、必ずアルバイトが禁止されるわけではありません。実際には、自治体や事業所の判断によって認められるケースがあります。とくに、「生活費を補う必要がある」「短時間なら体調に問題がない」と判断される場合は、掛け持ちが可能になるケースもあるでしょう。ただし、すべての人が自由に働けるわけではありません。就労移行支援は「就職に向けた訓練」が目的であるため、アルバイトが訓練の妨げになる場合は認められない可能性があります。そのため、自己判断で始めるのではなく、事前相談が大切です。
自治体や事業所ごとに判断が異なる
アルバイトに関する考え方は、自治体や事業所によって異なります。ある地域では認められていても、別の自治体では難しいケースもあります。また、事業所ごとにルールが設定されている場合もあるでしょう。たとえば、「週に数時間なら可能」「訓練への影響がなければ認める」といった条件を設けている事業所もあります。一方で、就職準備へ集中するため、原則としてアルバイトを認めていないところもあります。インターネットの情報だけで判断せず、自分が利用する自治体や事業所へ直接確認してみてください。
無断で始めるのは避けたほうがよい
「少しだけなら大丈夫だろう」と考え、無断でアルバイトを始めてしまう人もいます。しかし、後から発覚するとトラブルになる可能性があります。事業所との信頼関係に影響する場合もあるため注意が必要です。また、体調面に無理が出てしまい、訓練への参加が難しくなるケースもあります。生活費の不安がある場合でも、まずは事業所スタッフへ相談してみてください。アルバイト以外の制度や支援方法を提案してもらえる場合もあります。
アルバイトをするメリットと注意点
就労移行支援とアルバイトを両立すると、収入面だけではなく働く感覚を維持しやすくなるメリットがあります。一方で、負担が大きくなる場合もあるため注意が必要です。生活費の不安を軽減しやすい
就労移行支援では、基本的に給料は発生しません。そのため、生活費への不安からアルバイトを希望する人も多いでしょう。短時間でも収入があると、精神的な安心感につながる場合があります。また、「少しでも自分で生活費を負担したい」と考える人にとって、働く機会をもてる点は大きな意味があります。とくに、ひとり暮らしをしている人や、家計への負担を減らしたい人にとっては重要な問題です。ただし、無理に働きすぎると体調悪化につながる場合もあるため、バランスを考える必要があります。
働く感覚を維持しやすい
アルバイトをすると、社会とのつながりを感じやすくなる人もいます。決まった時間に働く習慣ができると、一般就労へのイメージをもちやすくなるでしょう。また、人との関わりや仕事への感覚を維持しやすい点もメリットです。一方で、アルバイトが忙しくなりすぎると、就労移行支援の訓練へ集中できなくなるケースもあります。「収入を優先するうちに、就職準備が後回しになっていた」という人も少なくありません。あくまで就職を目指すサービスである点を忘れない姿勢が大切です。
体調管理が重要になる
就労移行支援とアルバイトを両立すると、想像以上に疲れがたまる場合があります。とくに、通所に慣れていない時期は負担が大きくなりやすいでしょう。また、睡眠不足やストレスが続くと、体調を崩してしまうケースもあります。「働けるうちは頑張ろう」と無理を重ねるのではなく、自分の状態を確認しながら調整する姿勢が必要です。短期間で無理をするよりも、長く安定して通所できる環境を整えるほうが大切でしょう。
アルバイト以外に利用できる制度もある
生活費への不安からアルバイトを考える人は多いですが、ほかにも利用できる制度があります。無理に働きすぎないためにも、利用可能な支援を確認してみてください。失業保険を利用できる場合がある
以前働いていた人の中には、雇用保険に加入していたケースもあるでしょう。その場合、条件を満たせば失業保険を受給しながら就労移行支援を利用できる可能性があります。また、受給期間が延長されるケースもあるため、早めにハローワークへ相談してみてください。制度を知らずに利用できる権利を逃してしまう人もいます。アルバイトを始める前に、まずは使える制度がないか確認しておくと安心です。
障害年金を受給している人もいる
障害年金を受給しながら就労移行支援を利用している人もいます。病気や障害によって生活や仕事に影響がある場合、対象になるケースがあります。受給条件や等級は人によって異なるため、詳細は年金事務所などへ確認してみてください。また、「働くと受給停止になるのでは」と不安を感じる人もいます。しかし、短時間のアルバイトですぐに停止されるわけではありません。気になる場合は、事前に相談しておくと安心でしょう。
自治体の支援制度を確認する
自治体によっては、交通費助成や生活支援を行っている場合があります。また、生活困窮者向けの相談窓口を利用できるケースもあるでしょう。制度内容は地域によって異なるため、市区町村へ確認してみてください。アルバイトだけで生活を支えようとすると、無理が続く場合があります。利用できる制度を組み合わせながら、負担を減らしていく考え方も重要です。